広島における地下壕と 朝鮮人労働者 「土の記憶」フィールドノート 「土の記憶」の制作では、様々な方のご協力により、数多くの貴重な証言を得ることができました。 これは、映像に納めきれなかった証言をフィールドノートという形でまとめたものです。 「部落解放研究」第13号(広島部落解放研究所発行:2006年)に掲載されています。
【要約】 地下壕は、第二次大戦時に空襲や本土決戦に備えて日本各地に建設された。戦前に軍都だった広島には多数の地下壕があり、朝鮮半島から来た人々が建設に従事したものも少なくないと考えられているが、当事者の証言はあまり残されていない。本論では、ドキュメンタリービデオ「土の記憶」の製作過程で得られた証言について、広島の地下壕建設に関するものを中心にまとめた。 特に焦点を当てた2人は、いずれも広島への渡航者が多い慶尚南道陜川郡出身者である。昭和初期に父親を頼って来日した在日コリアンのケースと、徴用で来日した韓国人のケースであるが、地下壕建設の詳細を知ることのできる貴重な証言であった。 また、他の証言も合わせて、戦時下の広島における陜川郡出身者の生活や労働の実態を明らかにすることも試みた。